尊厳死の現場を追う:命の終わりを決める権利と残された家族の葛藤
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自死を助ける制度を持たない国から、自らの最期を迎えるために渡航する現象も存在する。その中心地として知られるのがスイスだ。スイスの会員制自死支援団体ディグニタスは、非居住者の外国人に対しても一定の厳しい条件のもとで自死の援助を提供してきた。しかし、言葉の壁や莫大な費用、そして母国へ遺体を連れ帰る手続きなど、その途上には想像を絶する現実的なハードルが立ちはだかる。
2018年、オーストラリアの104歳の植物学者デビッド・グッドール博士がスイスへと渡り、自ら命を絶ったニュースは世界中に激震を与えた。彼は末期症状の病に侵されていたわけではない。「100歳を超えて体の自由が利きにくくなり、人生の質が著しく低下した」という理由で自死を選んだ。彼の決断は、単なる病苦の解放にとどまらず、「人間が自分の寿命をコントロールする権利はあるのか」という根源的な議論を投げかけた。