伊都内親王願文の筆者は橘逸勢か空海か?名筆の全貌と現代語訳・臨書を解説
伊都内親王願文の筆者は橘逸勢か空海か?名筆の全貌と現代語訳・臨書を解説についての疑問解決ガイドをご紹介します。
書道作品としての伊都内親王願文の特徴は、何といっても変幻自在な行書草書の混交と、鋭敏極まりない筆勢にあります。
一般的な古筆が一定の静寂や調和を保つのに対し、本作は1行の中でも文字の大きさが大胆に変化し、線と線がぶつかり合うような緊張感を放ちます。起筆(筆の入り)は極めて鋭く、送筆では強烈な肥痩(線の太細)のコントラストがつけられ、文字の終わりにはかすれ(飛白)を恐れずに一気に払い抜くなど、極めて速い運筆スピードが感じられます。
この筆跡は、唐の顔真卿や張旭といった激情派の書風をも想起させ、平安貴族の優美で繊細な「和様」が完成する直前の、エネルギーに満ちた「唐様」の到達点を示しています。皇室の至宝として大切に守り継がれ、三の丸尚蔵館に保管されている現物には、千年前の墨色の輝きが今なお鮮明に残されています。