統合失調症を公表した芸人の闘病真相|ハウス加賀谷の復活と現在の姿

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ブレイクの真っ只中に相方を失った松本キックの苦悩もまた、筆舌に尽くしがたいものでした。芸能界の常識に照らせば、相方の復帰の目処が立たない状況であれば、コンビを正式に解散し、ピン芸人や別の相方を探して新たな道を模索するのが通例です。しかし、松本キックは「解散」ではなく「活動休止」という看板を掲げ続ける選択を下しました。

松本はピン芸人や舞台俳優として細々と活動を繋ぎながら、加賀谷の体調を最優先に考え、過度な連絡を避けて見守り続けました。病状が不安定な時期に「早く戻ってこい」と声をかけることが、当事者にとってどれほど残酷な凶器になるかを理解していたからです。この付かず離れずの距離感こそが、共依存に陥ることなく互いの人間性を尊重した心理的バウンダリー(境界線)の好例といえます。

入院生活から退院後、グループホームや作業所でのリハビリを経て、加賀谷の心身は少しずつ快方へと向かいました。そして活動休止から丸10年が経過した2009年、松本ハウスはトークライブの舞台で奇跡の復活を果たします。客席からの割れんばかりの拍手と、隣に立つ相方の変わらぬツッコミに迎えられた瞬間、加賀谷は「自分は生きていてよかった」と涙を流しました。二人が歩んだ軌跡は、のちに共著『統合失調症がやってきた』として出版され、同じ苦しみを抱える患者やその家族にとっての希望のバイブルとなりました。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

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