森山良子『涙そうそう』に隠された実兄への愛と作詞の真相を完全解剖

森山良子『涙そうそう』に隠された実兄への愛と作詞の真相を完全解剖にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

『涙そうそう』の誕生は、1998年に開催された沖縄の平和コンサートでの出会いに端を発します。当時、共演したBEGINのアコースティックな響きと沖縄の風土に根ざした音楽性に深く感銘を受けた森山良子は、彼らに「沖縄の風を感じられるような曲を書いてほしい」と楽曲制作を直訴しました。

依頼を受けたBEGINから送られてきたカセットテープには、まだ歌詞のない素朴なアコースティックギターのデモ音源が録音されており、そこには「涙そうそう(なだそうそう)」という仮タイトルが添えられていました。「涙そうそう」とは、沖縄言葉(ウチナーグチ)で「涙がとめどなくぽろぽろとこぼれ落ちる」という情景を表す言葉です。

このメロディを耳にした瞬間、森山良子の心の中で堰(せき)を切ったように溢れ出したのが、20代の若さで急逝した実兄・森山晋(しん)氏の面影でした。当時、音楽活動をスタートさせたばかりの森山にとって、兄は最大の理解者であり、絶対的な味方であり、憧れの存在でした。しかし、心臓麻痺(急性心不全)により突然の別れが訪れます。あまりの喪失感の大きさに、森山はその後何十年もの間、公の場でもプライベートでも兄の死を真正面から受け止めることができず、感情に固い蓋をして生きてきたと自著やインタビューで語っています。

カセットから流れる哀愁を帯びた旋律がその心の封印を解き、森山は机に向かうと、まるで兄への手紙を綴るように、わずか数十の間に一気に歌詞を書き上げました。誰かに聴かせるための技巧ではなく、心に沈殿していた兄への情愛がそのまま言葉となって昇華した瞬間でした。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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