ニットの干し方はハンガーで伸びる?肩ポコを防ぐプロ直伝の最新裏ワザ
ニットの干し方はハンガーで伸びる?肩ポコを防ぐプロ直伝の最新裏ワザについて詳しく解説いたします。最新の情報をお届けします。
そもそも、なぜニットを通常のハンガーにかけて干すと無残な型崩れを起こしてしまうのでしょうか。その背景には、布帛(シャツやスーツ地などの織物)とニット(編み物)における構造的な強度の違いと、水を含んだ繊維にかかる物理的ストレスが存在します。
織物が縦糸と横糸を隙間なく交差させて形状を固定しているのに対し、編み物であるニットは1本の糸をループ状に連続して絡み合わせて作られています。このループ構造こそがニット特有の伸縮性やふんわりとした着心地を生み出す源泉ですが、裏を返せば「外部からの引っ張り圧力に対して極めて脆弱である」という弱点と表裏一体です。
さらに決定的な要因となるのが、洗濯後の水分量です。一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協議会などの品質基準データによると、標準的な脱水処理(1分〜3分程度)を終えた直後のニット製品は、乾燥時の重量に対して約40%〜60%前後の水分を繊維内部に保持しています。乾燥時の重量が400gのミドルゲージセーターであれば、脱水直後には約600g〜700g近くまで跳ね上がっている計算になります。
この重量化した衣類を細いプラスチック製や針金製のハンガーに吊るすと、わずか数センチ四方の肩先部分に数十倍の局所的な圧力(応力集中)がかかります。下方向へ働く重力によってループが縦方向に引き伸ばされ、同時にハンガーの両端が編み目を外側へ押し広げることで、あの痛ましい「肩ポコ(ハンガー跡の突起)」が刻み込まれるのです。