中村歌右衛門の現在と襲名真相|成駒屋の家系図から読み解く後継問題
中村歌右衛門の現在と襲名真相|成駒屋の家系図から読み解く後継問題の見逃せないポイントをわかりやすく整理しました。
歌舞伎の殿堂・歌舞伎座において、「歌右衛門」の名が掲げられなくなってから25年の月日が流れました。この間、名跡が消滅したわけでも、継承者が存在しなかったわけでもありません。時計の針を巻き戻すと、歌舞伎界を揺るがした2013年秋の電撃発表に突き当たります。
松竹の公式発表資料によると、2013年9月、成駒屋の屋台骨を支える名女形・九代目中村福助が七代目中村歌右衛門襲名を果たすことが正式にアナウンスされました。同時に、長男の中村児太郎が十代目中村福助を襲名するという、父子同時襲名の壮大なロードマップが示されたのです。興行界のみならず一般メディアも「女形最高峰の復活」として熱狂的に報じ、披露興行は2014年春から1年をかけて全国で開催される手筈が整っていました。
しかし、歌舞伎ファンを愕然とさせる事態が突如として訪れます。記者会見からわずか2か月後の2013年11月、福助が体調不良を訴えて緊急入院。診断結果は脳出血でした。言語機能と右半身の運動機能に重い障害が残り、命の危機こそ脱したものの、舞台復帰の目途すら立たない緊迫した状況に追い込まれたのです。同年12月、松竹および一門は中村歌右衛門襲名延期の理由として「本人の治療とリハビリへの専念」を挙げ、襲名披露興行の無期限延期を正式に発表しました。
襲名延期の一報を受けた当時の関係者の証言によると、「大名跡の襲名は数億円規模の興行価値と莫大な準備費用が動く一大事業であり、延期の決断は断腸の思いであった」と振り返られています。その後、名跡の行方は長期にわたる静寂に包まれることとなりました。