楠木新『定年後』が暴く孤独の現実!第2の人生で輝く居場所づくり
今注目を集めている 楠木新『定年後』が暴く孤独の現実!第2の人生で輝く居場所づくりについて、主要な情報をご紹介しています。
ビジネスパーソンに計り知れない衝撃を与えた中公新書『定年後』において、楠木新氏が提示した最も象徴的なデータが「定年後の自由時間は約8万時間」という事実です。これは20歳から60歳までの40年間、毎日猛烈に働いた総労働時間にほぼ匹敵します。多くの人が「定年後はのんびり旅行やゴルフを楽しみたい」と口にしますが、いざ退職してみると、毎日が日曜日という生活は数カ月で飽きが訪れ、その後に途方もない時間を持て余す現実が立ちはだかります。
著者の楠木新氏の経歴を振り返ると、その分析の鋭さの理由がよく分かります。1954年生まれの楠木氏は、京都大学法学部を卒業後、大手生命保険会社に入社。順調にキャリアを重ねていた47歳の時、突然の激しいバーンアウト(燃え尽き症候群)と体調不良を経験しました。この危機をきっかけに「働く意味」と「個人の生き方」を問い直し、会社員を続けながら執筆・取材活動を開始。自らのリアルな危機感を出発点に、500人以上の定年退職者やシニアへの徹底取材を重ねてまとめられたのが『定年後』の要約骨子です。
本書が暴き出した定年後の心理的プロセスは、次の3つのフェーズに大別されます。
- 第1フェーズ(解放・ハネムーン期):退職直後の数カ月。会社からの解放感に浸り、旅行や趣味を満喫する期間。
- 第2フェーズ(幻滅・アイデンティティ喪失期):半年から1年程度で訪れる。社会との接点が断たれ、誰からも必要とされていない感覚に襲われる無気力状態。
- 第3フェーズ(再適応・受容期):会社の肩書を完全に手放し、地域や小さなコミュニティで新たな役割を見出していく期間。
楠木氏は、多くの男性が第2フェーズの「幻滅期」で立ち往生し、自室に引きこもるか、図書館やカフェを巡って時間をつぶす「定年難民」と化している実態を明らかにしました。定年後の生き方を左右するのは、退職金や年金の額面以上に、「自分は何者であり、どこに居場所があるのか」という精神的自立に他なりません。