箱根駅伝の繰り上げスタートは何分差?白タスキの真相と非情の境界線

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お正月のテレビ画面の前で「あと1分くらい待ってあげられないのか」と胸を痛める視聴者は後を絶ちません。しかし、この非情な決定を下さざるを得ない背景には、単なる競技運営上の都合を超えた「都市インフラの維持と交通警察との絶対的協定」が存在します。

箱根駅伝の走路となる東京・大手町から神奈川・箱根・芦ノ湖までの往復217.1kmは、日本の大動脈である国道1号線、国道15号線(第一京浜)、産業道路を主軸としています。これら主要幹線の車線を長大に封鎖することは、物流網の停滞、緊急車両(救急車・消防車)の通行妨害、周辺住民の生活動線遮断に直結します。警視庁および神奈川県警察本部から交付される道路使用許可は、一般車両の通行再開時刻と連動しており、1分1秒の勝手な遅延も許されません。

仮に繰り上げを行わずに遅れた走者を待ち続ければ、最後尾の通過時刻は際限なく遅れ、復路の大手町周辺が日没を迎え、交通麻痺と重大事故の危険性が跳ね上がります。都市の治安と人命を守る社会的責務を果たすために、大会本部は断腸の思いでタイムリミットを執行しているのが動かしがたい現実です。

そして、繰り上げ時に着用するタスキが「なぜ白無地なのか」という点にも、明確な制度的理由があります。中継所で繰り上げスタートを切る走者が掛ける白タスキ(黄色などの別色タスキが併用される場合もあります)は、「大会本部が各中継所に用意している公式予備タスキ」です。母校の大学名を刻んだ本タスキは、コース上を必死に走っている前走者の胸にあります。同一チームの正規タスキが同時に2本存在することは物理的にあり得ないため、運営側が用意した無地のタスキを代用として着用するルールが厳密に定められています。

早稲田の臙脂、明治の紫紺、駒澤の紫、青学のフレッシュグリーン――各校のアイデンティティそのものであるスクールカラーを奪われ、誰のものでもない無機質な白タスキを胸に前へ進まねばならない事実こそが、走者にとって痛切な試練となる理由です。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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