国宝・阿修羅像の表情が語る悲哀の謎|三つの顔に秘められた真実

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阿修羅像の滑らかな皮膚感と繊細な表情を生み出した最大の要素が、奈良時代に流行した「脱活乾漆造」という制作技法である。粘土で原型を作り、その上に麻布を漆で貼り重ねて乾燥させた後、中の粘土を抜き取って空洞にする。非常に手間と費用がかかる技法だが、木彫では表現しにくい繊細な肉体美や顔立ちの曲線をつくり出すことが可能だった。

この造形を指揮したと目されるのが、営繕に関わった名工、仏師の将軍万福である。唐の最新文化を吸収しながら、日本固有の感性を注ぎ込んだ彼の工房は、軽量で堅牢な乾漆の特性を極限まで活かした。当時の仏教美術における最高峰の技術と革新的な美意識が結実したからこそ、二度と再現できない奇跡の造形が誕生したと言える。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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