広尾稲荷神社の天井画「墨龍図」が放つ力とは?歴史とご利益を徹底解明

広尾稲荷神社の天井画「墨龍図」が放つ力とは?歴史とご利益を徹底解明について知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。

広尾稲荷神社の拝殿を見上げると、そこには畳数十枚分にも及ぶ壮大なスケールで描かれた龍の姿があります。この天井画こそが、日本近代美術史の教科書にも必ず登場する洋画家・高橋由一(たかはしゆいち)の初期の傑作「墨龍図(ぼくりゅうず)」です。

油彩画『鮭』や『花魁』で知られる高橋由一ですが、彼がまだ狩野派の日本画を学んでいた若き時代、弘化4年(1847年)にこの墨龍図を描き上げました。縦横無尽にうごめく漆黒の雲と、そこから鋭い眼光を放ちながら姿を現す龍神の姿は、墨の濃淡とダイナミックな筆致によって圧倒的な生命力を宿しています。この天井画は現在、港区指定有形文化財に指定されており、近代絵画への過渡期を示す極めて貴重な文化遺産として評価されています。

稲荷神社といえば狐(きつね)や五穀豊穣を司る倉稲魂神(うかのみたまのかみ)が象徴ですが、なぜ拝殿天井に「水と雨の神」である龍が描かれたのでしょうか。その背景には、江戸時代に頻発した都市火災に対する町人たちの切実な祈りがありました。火難除けの霊験を祈願し、天から雨を呼ぶ水神の象徴として龍を描かせたという歴史的背景が、神仏習合の息づく当時の社殿造営記録からも読み取れます。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest