春すぎて夏来にけらし|持統天皇が詠んだ真の意図と品詞分解を完全解説
春すぎて夏来にけらし|持統天皇が詠んだ真の意図と品詞分解を完全解説の見逃せないポイントを一挙に解説しました。
この歌には、時代を隔てた2つのバージョンが存在します。原歌である『万葉集』巻一(28番)の歌と、藤原定家が選んだ『新古今和歌集』および『小倉百人一首』の歌です。この2つの違いを把握することは、古典文学史の試験対策だけでなく、和歌の鑑賞においても決定的に重要です。
『万葉集』の「衣干したり」は、女帝が自ら宮殿の高台から香具山を見渡し、「あそこに白い衣が干してあるぞ、夏がやって来たのだな」と実感した写実的な喜びがそのまま歌われています。
一方、『新古今和歌集』の「衣ほすてふ」は「衣を干すという噂の香具山よ」という観念的・絵画的な美学へと変容しています。平安末期から鎌倉初期の貴族たちは、遠い奈良時代の神話的風景に憧れを抱き、あえて「てふ(伝聞)」とすることで幻想的な奥行きを持たせました。