『愛の不時着』北朝鮮の描写はどこまでリアル?脱北者の証言と噂の真相
『愛の不時着』北朝鮮の描写はどこまでリアル?脱北者の証言と噂の真相とはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
なぜここまで生々しい生活描写が可能だったのか。その鍵を握るのが、脚本家パク・ジウン氏のチームに合流した脱北者クァク・ムンワン氏の存在です。
クァク氏は平壌演劇映画大学を卒業後、最高指導層を警護する「護衛司令部」に勤務していたエリート出身の脱北者です。2004年に韓国へ亡命した同氏は、自身の軍歴と映画の専門知識を活かし、劇中の軍事階級制度、保衛部の内部力学、将兵が使う独特のスラングに至るまで徹底的なアドバイスを行いました。
インタビュー取材においてクァク氏は、「北朝鮮の軍人は全員が無機質な悪人でもなければ、ロボットでもない。家族を思い、恋をし、上官の理不尽に耐える生身の人間であるという実像を伝えたかった」と語っています。
また、ヒョンビンが演じた主人公リ・ジョンヒョクの実在モデルについても、クァク氏の知人である元高官子息のエピソードが複数ブレンドされています。「総政治局長の息子でありながら、芸術肌でスイス留学を経験したエリート将校」という人物設定は一見フィクションの極致に思えますが、平壌の中枢幹部の子弟たちがヨーロッパへ留学し、帰国後に軍の要職へ就くキャリアパスは北朝鮮の特権階級において実際に確認されているルートです。